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不動産業者が飲食店を経営する理由

一般的に不動産経営は、株やFXなどの金融商品を運用するより安全で堅実であると考えられています。一方で飲食店経営は脱サラや退職後に気軽に始めてしまう人も多いためか、廃業も多く、経営の難易度が高いと考えられています。堅実でリスクが低いと言われる不動産業界ですが、不動産経営者が、ややリスクの高い飲食店を経営する理由とは一体どのような理由なのでしょうか?

飲食店経営の難点

脱サラや退職を機に飲食店経営を始めたいと思っている人も多いそうですが、よく指摘されるように、飲食店経営は、難易度が高い事業と言われています。

独立起業を志す多くの飲食店経営者は、「自分はラーメンが好きなので、自分の作りたい美味しいラーメンを提供して、内装にこだわって、使いやすい厨房を整備して…」などということを考えて起業するのですが、実際には美味しいものを作るだけでは飲食経営が成功するとは必ずしも言えないものなのです。起業するためには不動産を確保し、店舗の内装を整備するなどの初期投資が必要になります。起業した以上は初期投資にかけたお金を回収し、さらに儲けを出さなければなりません。ビジネスではどのような形で利益を上げるのか、原価率や人件費をいかに安くするかなど考え抜かれていることが重要になります。飲食店での独立を志す起業家が陥りやすい問題は、「自分が美味しいと思うものを作れば必ず売れる」という思い込みなのではないでしょうか。

日本政策金融公庫総合研究所による2016年の「新規開業パネル調査」というアンケートでは、2011年に存続していた企業のうち、2015年の末で10.2%の企業が廃業しているということです。廃業状況を業種別にみると、飲食店の廃業率は18.9%であり、ほかの業種と比べると最も高い廃業率となっています。

不動産と飲食店の意外な共通点

飲食経営は不動産経営に比べてシビアであるということを踏まえたうえで、不動産経営と飲食経営が似ている点はどのようなものでしょうか?

まずアパートの経営で考えてみましょう。例えば8戸の家賃8万円のアパートがあるとして、単純計算で考えると月に8万円×8戸で64万円の収入が得られることになります。
次に飲食店の経営を考えてみましょう。飲食店もアパート経営と同じで利用者数(アパート経営における入居者数)の上限はほぼ決まっています。

飲食店の売り上げは「席数×客単価×回転率」で求めることができます。例えば座席数8席で客単価1000円、回転率15という人気ラーメン屋さんがあったとすれば、一日で12万円の売り上げがあり、ひと月に20日開店しているとして、単純計算では、およそ240万円の収入が得られることになります。

実際には飲食では例えば雨が降ると客足が遠のくなどの要因がありますが、ここで問題にしたいのは、不動産経営でも8戸という数は決まっていて、これは飲食店経営における席数と同等であり、不動産経営での8万円という家賃は、飲食店経営における客単価1000円や回転率15という数に置き換えて考えることができるということです。

不動産経営でも、いかに良い入居者に来てもらうかに知恵を絞ることもあるかと思います。飲食店経営でいかに席を埋めるかという問題は不動産経営での入居者の問題と類似していると言えるでしょう。

不動産経営者が飲食店を経営する理由

飲食店経営での起業が不動産経営に比べると難易度が高いことを述べつつ、飲食店経営と不動産経営との類似点についても考えてきました。

これまでみてきたように不動産経営における入居者の確保の問題と、飲食店経営におけるいかに客席を埋めていくかという問題は類似した経営上の問題でした。このような問題解決に知恵を絞るのが得意である不動産経営者なら飲食店経営も有意義なものになるかもしれません。

不動産経営と飲食店経営の類似点を踏まえつつ、飲食店で必ず儲かるほどのビジネスモデルを構築できる目算があり、飲食店経営の難しさをクリアできるとすれば、不動産経営者が飲食店を経営することはあるかもしれませんね。

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